夫婦や長く付き合っているカップルの関係が冷えてくると、「愛情がなくなった」「相性が悪かった」と考えてしまいがちです。
しかし実際には、気持ちそのものよりも、仕事や家事、育児などの日常的な負担が積み重なり、二人の時間やコミュニケーションが減っていることもあります。
セックスレスについて考える場合も、性的な問題だけを見るのではなく、普段の生活そのものを振り返ってみることが大切です。
忙しくなるほど二人の時間は後回しになりやすい
仕事から帰ってきたら食事をして、家事を片付け、翌日の準備をする。
子どもがいれば、そこに育児も加わります。
一つ一つは特別な出来事ではありません。しかし、こうした生活が毎日続けば、夫婦でゆっくり話をする時間は少なくなっていきます。
最初は「今日は疲れているから」と思っていても、それが当たり前になると、二人だけで過ごすことそのものが生活から消えてしまうことがあります。
その結果、会話が減り、スキンシップが減り、いつの間にか心理的な距離まで広がってしまうことがあります。
家事や育児の負担は夫婦で同じとは限らない
夫婦関係を考えるうえで見落としやすいのが、家庭内で感じている負担の違いです。
たとえば、一方は「自分も十分に家事をしている」と考えていても、もう一方は「ほとんど自分がやっている」と感じている場合があります。
内閣府男女共同参画局も、家事・育児・介護と仕事のバランスについて継続的に調査しています。過去の調査では、特に子育て期の夫婦で、仕事と家庭に費やす時間の配分に男女差がみられることが示されています。詳しい資料は内閣府男女共同参画局「家事・育児・介護と仕事のバランス」でも確認できます。
ここで重要なのは、「どちらが悪いか」を決めることではありません。
二人が感じている負担が違う可能性を知ることです。
疲労が続けばスキンシップまで減ることがある
夫婦の時間を作ろうと思っていても、身体が疲れていれば気持ちに余裕がなくなります。
仕事、通勤、家事、育児などが終わったころには、「今日はもう何もしたくない」と感じる日もあるでしょう。
これが一時的なものであれば大きな問題にならなくても、何か月、何年と続けば、スキンシップを取る習慣そのものがなくなることがあります。
すると、片方は単純に疲れているだけなのに、もう片方は「自分に魅力を感じなくなったのではないか」と受け取ることがあります。
こうした認識の違いが、さらに関係を難しくしてしまいます。
「やっている家事」より「考えている家事」もある
家事というと、料理、洗濯、掃除など、目に見える作業を想像しやすいものです。
しかし家庭生活には、それ以外にも細かな作業があります。
冷蔵庫の中身を確認する、日用品がなくなる前に買う、ゴミの日を覚えておく、家族の予定を確認するなどです。
実際に手を動かしている時間だけでは分かりにくい負担があるため、「自分たちは半分ずつやっている」と思っていても、相手の感覚とは違うことがあります。
夫婦間で不満が出てきたときには、家事の数だけではなく、「普段どんなことを気にしているのか」まで話してみると、相手の負担が見えやすくなります。
関係を改善するなら生活の構造から見直す
夫婦関係がうまくいかなくなると、デートを増やしたり、旅行へ行ったりする方法を考える人もいます。
もちろん、それが良いきっかけになることもあります。
ただ、普段の生活が忙しすぎるままであれば、イベントが終わったあとに元へ戻ってしまう可能性があります。
そこで一度、生活そのものを見直してみてもよいでしょう。
たとえば、毎日完璧に家事をしようとしていないか、休日にも予定を詰め込みすぎていないか、二人とも疲れている時間帯に大切な話をしようとしていないかなどです。
二人の関係を改善するために何かを増やすのではなく、負担になっているものを一つ減らすという考え方もあります。
「愛情不足」と決めつける前に確認したいこと
セックスレスや会話の減少が続くと、どうしても相手の気持ちを疑いたくなります。
しかし、「自分を好きではなくなった」と結論を出す前に、まず現在の生活を見てみることが大切です。
睡眠は十分に取れているか。
仕事が忙しすぎないか。
家事や育児の負担が偏っていないか。
一人で過ごす時間はあるか。
二人が落ち着いて話せる時間は残っているか。
こうした部分に問題があるなら、愛情そのものではなく、愛情を表現する余裕がなくなっている可能性もあります。
まとめ
夫婦のすれ違いやセックスレスは、恋愛感情だけで起きているとは限りません。
仕事、家事、育児、睡眠不足など、日常生活の小さな負担が積み重なった結果として、二人の時間が失われていることもあります。
関係が冷えてきたと感じたときには、「相手は自分をどう思っているのか」だけを考えるのではなく、「二人はいま、どんな生活をしているのか」を見直してみることも大切です。
気持ちを変えようとするより先に、二人が少し余裕を持てる生活に変える。
それだけでも、関係を見直すきっかけになるかもしれません。
